「図書館司書の自由に関する宣言」について

図書館の責務と倫理

 

「図書館司書の自由に関する宣言」は、図書館の任務や責務について、基本的人権である「知る権利」を持つ国民に資料と施設を提供することが述べられています。この社会的責任を遂行するための職責を図書館司書は背負っていると言ってもよいでしょう。

 

図書館司書は、自律的規範として「図書館員の倫理綱領」を持っています。これは自治体の仕事の分野の中でも、とても珍しいものだと言えるでしょう。図書館司書の規律を法律とは別に、日本図書館協会という団体が制定したことに意味があるのです。

 

「図書館司書の自由に関する宣言」の中にある、「資料提供の自由」は時に役所の意思決定の手続きと対立することがあります。資料に差別的な内容があったりした場合に、その資料の供給を禁止にしたり、制限したりする事は少なからず存在します。議会で問題となり取り上げられたり、教育委員会から指示されたりした場合です。

 

このような時に図書館司書が、どのように対応するかが問われます。利用者の読書記録を外部に漏らさないということはプライバシーの保護としては当然のことですし、公務員としての守秘義務としては当然のことです。しかし、過去には地下鉄サリン事件の証拠固めとして、図書館の利用記録を裁判所の命令で差し出したといった事件もありました。

 

図書館独自の見解

 

法的機関の命令だからとか、図書館を管理する立場の教育委員会の指示だからといった理由だけでは、図書館の自立性はいつまでたっても確立されないでしょう。こういった場合に、知的自由を保障する図書館としての見解が求められるのです。

 

利用者に対する職責と、資料に関する職責を軸として、守るべき事項や心すべき事項は、実践・研修・研鑽といった絶え間ない努力や図書館の計画、運営方針の策定への参加、図書館協力の推進、出版や文化への寄与といった広い範囲で総合的に求められているのです。

 

これは一公務員としての規範に留まらない、幅広い意味での倫理感だと言えるでしょう。